子どものこと

親権を取らずに子供を引き取る方法

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子どもと住むためには親権者であることが必要?

 離婚の条件の一つとして、子供を引き取りたい、ということがあると思います。
子供を引き取りたいので、親権は自分が絶対にとりたい、そう考える方が多数だと思います。

また、「自分は専業主婦で収入がないから、子どもの親権を取ることはできない。」

「親権者でなければ、子と住めない」そんなことを思ってはいませんか?

実は親権者でなくても、子を引き取ることは可能です。

「親権」とは、成年に達しない子を監護、教育し、その財産を管理するため、その父母に与えられた身分上および財産上の権利・義務の総称です。

この「親権」というのは「身上監護権」と「財産管理権」の二つの要素から成り立っています。

「身上監護権」とは子の監督保護・養育を行う権利や義務のこと。
「財産管理権」とは子の財産を管理したり、財産に関する法律行為(契約を結ぶなど)の代理人となる権利・義務のことです。
このふたつの権利・義務を分離して、子どもの身の回りの世話や教育、しつけに関する部分(「身上監護権」の大部分)のみを執り行う監護者」になることで、親権者にならなくても子供を引き取って一緒に暮らすことは可能です。

下の図のようなイメージです。

親権イメージ

ただ、親権者と監護者を分離させることは、以下で述べるデメリットがありますので、あまりお勧めはできません。

監護者ができること

  • 子どもの身の回りの世話や教育、しつけ
  • 子どもの住むところを定める
  • 子どもが仕事をすることを許可する

など、子の養育に関することはふつうにすることができます。

監護者にできないこと

  • 子どもの身分行為の代理
  • 財産の管理
  • 契約などの法律行為を子供を代理して行う

「身分行為」とは、婚姻や養子縁組など身分上の法的効果を生じさせる法律行為のことをいいます。(平たく言うと、その行為をすることによって人の身分上の立場が変化する行為、といえばわかりやすいでしょうか。ここでいう「身分」というのは、江戸時代に行われていたような「士農工商」的な上下関係を言うのではなく、父とか母とか妻、夫、子といった立ち位置のことをいいます。)

身分行為に関して言うと、たとえば15歳未満の子の氏の変更をする、相続の承認や放棄をするといったことが挙げられます。
これらは子どもを代理して行うことなので、親権者でないとできません。
なので例えば、離婚後、子の氏を変更したい、といった場合には、親権者(元配偶者)がそれを行わなくてはなりません。
監護者である立場では、勝手に子の氏の変更をすることはできないのです。

つまり、もし、子の氏を自分の氏と同じに変更したいといった場合には、親権者である元配偶者とそのことで交渉しなければなりません。親権者と監護者を別々にした場合、そうしたわずらわしさがどうしても出てきてしまいます。

氏の変更だけではありません。

例えば子供が高校生になってアルバイトをしたいと言い出したとします。
アルバイトをするにはアルバイト先と雇用契約が必要です。未成年は単独ではこうした契約はできません。親権者である親の同意が必要になります。
親権者と監護者を分けると、こんな時もいちいち親権者である方の相手方の了承を得なければならなくなります。

監護者となることで、子を引き取り暮らすことはできます。が、子どもに関して何かあったときに、その判断を自分一人で決定することができない場面も生じてくるというデメリットも承知しておかなくてはなりません。

親権者と監護者を分離させることのもう一つのデメリット

親権者は離婚届を出す際に記載しなければならないので、子の親権者が誰なのか、はっきりしています。
ところが、監護者は届け出の義務がありません。口頭での約束だけで監護者になることができます。
手続きを踏まないということは、簡単ではありますが、トラブルも生じやすいです。

たとえば、離婚して何年かたったときに、親権者である元配偶者が、「自分が親権者だから。」という理由で、監護者のあなたとの約束を反故にして、子供を引き取ってしまうことがないとは言い切れません。
口約束だけではあなたがいくら監護者であることを主張しても、「そんな約束はしていない。」と相手に言われてしまったらどうしようもありません。
再び調停や裁判を起こして監護者であることを主張しますか?

そんなトラブルを避けるためにも、監護者と親権者を分けて決めた場合、きちんと文書(離婚協議書や離婚公正証書)にしておくことを強くお勧めします。

親権者、監護者を決めるときに絶対に忘れてはならないこと

親権者に関して、お互いに譲らず、どうしても折り合いがつかないという場合、「親権者」と「監護者」を分けて、相手に「親権」を譲るというのも一つのやり方です。
もちろん、親権を分離することで生じるデメリットをしっかり理解したうえで、ですが。

この親権者と監護者を分離して決める、というやり方は、一般的にはあまり行われていません。監護者となれば、子を引き取って暮らすことはできるけれど、身の回りの世話以外の取り決めは、親権者である元配偶者にゆだねなければならないというデメリットが大きいせいでしょう。

親権者をだれにするのか、親権者と監護者を分けて決めるのか、これを決めるとき、絶対に忘れてはならないことがあります。

それは

子どものためにどうすることが最良の方法であるか

ということです。

「自分がこうしたい」と、自分の希望を主張することは大切です。
ですが、ちょっと立ち止まって「誰のための親権者か」ということを見つめ直してみてください。
ただでさえ、親の離婚が子どもに与える影響は計り知れません。
子どもにとってどうすることが一番いいことなのか、「自分目線」でなく「子ども目線」で考えることで、おのずと良い方策が見えてくるのではないでしょうか。

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